真核生物上界 動物界 後生動物亜界 軟体動物門 貝殻亜門 腹足綱 後鰓亜綱
裸鰓目 ドーリス亜目 イロウミウシ科 アオウミウシ属
学名: Hypselodoris festiva
英名: nudibranch
分布
日本国内では本州と九州の海岸から浅い海底に生息。
日本国外では香港から知られています。
沿岸の温帯域の岩礁域に生息します。

アオウミウシ 漢字で書くと『青海牛』
ウミウシの名称は、触角を牛の角に見たてて「海の牛」としたことに由来しているようですが、正確な名前の由来の記録は残っていないようです。
小笠原諸島では、触角を猫の耳に見立てウミネコと呼ぶそうです。
方言でアメフラシをウミウシと呼ぶ地方もあるようです。
海外ではどうでしょうか??
[ラテン]Dorididae:
ギリシャ神話のネレイス(海の妖精)の母である女神ドリスにちなんでいるそうです。
[ 英 ]nudibranch:
直訳は「裸の鰓」。かつてウミウシは裸鰓目にひとまとめにされていたことに由来。
[ 英 ]sea slug:
直訳すると海のナメクジ。見た目そのままですね。
[ 仏 ]tritonia:
ギリシャ神話の海の主神ポセイドンの息子トリトンにちなむ名前だそうです。
[ 独 ]Sternchnecke:
直訳すると「星の巻貝」なんだかロマンチック??
国によって見方が違うなんて面白いですね!人によっても違うのでしょうか。
あなたはどんな見方をしましたか?
アオウミウシは日本で最もよく見かける、有名なウミウシです。
全身がきれいな青に黄色の斑紋、それに赤い触角をもつ鮮やかな体色で
とても人気のウミウシです。

私が見た最初のウミウシもアオウミウシでした!
えっ、これ生き物?小さいけど、きれいだし可愛い♪
目を丸くして見入ってしまったことを思い出します。
また、ほとんど動かないので写真にもキレイに写せます!
水中写真初心者の方の被写体にもオススメです!!
アオウミウシの特徴
体は偏平で細長くナメクジ状で体長約30〜40ミリメートル位。
背面や側面に突起などはなく、滑らかな体をしています。
全身が鮮やかな青!キレイだし見つけやすいです。
ウミウシの名前の由来となった牛の角のような触角があります。
触角は、”匂い"を感じるいわゆる鼻。 感度を高めるために、表面がでこぼこしてます。ウミウシにとっての”目"になり、とても重要な器官です。

体の後背面のフワフワした花のような形をしたのが2次鰓です。
2次鰓の中心には肛門があります。


そして、体の最後尾には尾があります。
残念ながら目は、外からはわからないようです。
内部に埋没しているそうですが、光の方向程度は感じるらしいです。
口は触角の下辺り。
下半身(底面)は、カタツムリみたくなっています。
そもそもウミウシってどんな生き物?
ウミウシの厳密な定義はなく、全く貝殻を持たない裸鰓類を示すことが多いようですが、アメフラシ等の退化した貝殻をもつ種も含めた後鰓類を示すこともあります。
つまり。。。貝殻が退化したり全く無くなった巻貝の仲間と思っていただけるとわかりやすいかもしれません。
貝殻を持たない巻貝と言えます。
ウミウシの分類は正確には、動物界・軟体動物門に属します。
一般にウミウシ達の仲間を総称して後鰓類と呼んでいますが、最近これらの後鰓類の分類が整理され新しくなっているようです。
旧:軟体動物門・腹足綱・後鰓亜綱 (腹足綱は巻貝の仲間の集合体)
新:軟体動物門・腹足綱・直腹足亜綱・異鰓上目・後鰓目
大半の図鑑は、大半が旧分類になっているようです
・旧分類はこうなっています。 → ”旧ウミウシの分類図”
私的には、水中の癒し系、キレイでかわいいオシャレ番長!
でいいと思うのですが。。。
ぜんぜん説明になっていないですね。すみません。。。
一口にウミウシといっても様々な形態や色をしたものがいます。
色も白、黄、紫、青、黒、赤と様々で、美しい色彩を持つ種類も多い!!

ウミウシは何を食べているのでしょうか?
ウミウシも動物なので何かを食べて生きてます。
私的には、ウミウシは草食というイメージがあったのですが、
実はウミウシの大半が肉食だそうです!!
ベジタリアンはなんと少数派。。。
・ベジタリアン 襄舌目、無楯目(アメフラシやミドリガイの仲間など)
・カイメン食 シロウミウシが属するイロウミウシの仲間達やイボウミウシ達
カイメンは、一見は石や岩と変わりありませんがれっきとした生き物です。
これらカイメンを好んで食するウミウシは、多種にわたります。
アオウミウシはこのカイメンを食べています。
カイメンを食べるのは防衛対策のひとつとしてとても重要な役割をはたしています!
防衛対策 その1
カイメンやコケムシなどは、テルペン・フェノール・ステロイドなどの化学物質を身を守るため生成しています。
それらを食すウミウシ達は、それらの作成した化学物質をそのまま、もしくは加工して体内に蓄積しています。
つまりウミウシの多くの種類は、他の生き物に食べられないように体に毒や酸を蓄えてマズくしているのです。
ミノウミウシのような刺胞動物を食すウミウシたちは、体内に食べた刺胞細胞を蓄え、非常時には蓄えた刺胞細胞を放出します。
食べ物から、生きるためのエネルギーを得るだけでなく、防御の手立てとして利用するという一石二鳥を実現しています。
敵が口にすると、一斉に刺胞攻撃が行われます。ミノウミウシ類を刺激すると、ミノを逆立てるそうですよ。中には硫酸に近い強酸を作るウミウシもいるそうです。
このように、ウミウシは食べ物から得た物質を利用してまずくして、
自分の身を守っているのです。
あんなにかわいいウミウシを食べようとは思いませんが、
食べても美味しくないのです。
アメフラシを食べる地方はあるそうですが。。。
もしもおいしかったら、きっと今頃ウミウシは絶滅の危機!!
何てこともあったかも??
お刺身やお寿司に乗せたり。。。綺麗なのできっと大人気!
になっていたかも。。
ウミウシよ、まずくてよかったね!!
余談。。。
昭和天皇は、多くのウミウシを採集されていたことで有名ですが、
採集だけでなく実際に食べてみたこともあるそうです。
結果はやはりまずかったらしいです。
「ウミウシ学」の著者も、ウミウシを食べることに挑戦したそうです。
結果は、舐めるだけで舌がピリピリして身の危険を感じてそれ以上の行為は諦めたそうです。
また、何でも食べてみることを信念にしている、あの有名な
畑正憲さん(ムツゴロウ氏)もエッセイの中で、
ウミウシ類だけは食べられなかったと書いていたそうです。
ムツゴロウさんでも無理なら、絶対無理です!
皆さん、ウミウシは見て楽しみましょう♪
とは言っても、ウミウシも生存競争の激しい自然界で生きています。
まずいから食べられないんじゃないの?と思ったら大間違い!
食べられちゃうこともあるみたいです。
実際、ウミウシが魚に食べられるのを目撃した人もいるそうです。
ということで、ウミウシも生きるための工夫、進化して生きています。
防衛対策 その2
まずウミウシは単体で見ると、とてもカラフルで綺麗ですが周りの環境の中で見ると、うまく溶け込んで全く目立ちません。
ウミウシを探してもなかなか見付からないのは、
見付けられていないほうが多いのではないでしょうか。
多くのウミウシは目立つ所ではなく、物陰に隠れている事実があります。
見付からないように隠れたり、周囲の環境にうまく溶け込んでいるのです。
仮に見付かっても、食べようとして口にしてマズければ、
生き延びられる可能性が高まります!!
またしても余談。。。
そしてなんとビックリなことに目くらましをする!というウミウシもいるそうです!(アオウミウシは違いますよ!)
ミノウミウシ類のウミウシは外部から強い刺激を受けると、ミノ突起を自切します。まさに、”トカゲの尻尾切”と同じ目的らしいです。
図鑑などには、”触るとミノが取れる”から注意するようにと書いてあります。
自分でわざと切るなんて驚きです!自分の命を守るために考えた進化ですね!
自切したミノは、1時間程度は動いているらしいです。
ちょっと気味悪い気もしますが。。
そして、その自切したミノに気をとられているうちに、逃げるみたいですよ!
ゆっくりと。。。
ウミウシの寿命
ウミウシの寿命ははっきりしないのですが、一般に多くの種は〜1年くらいと言われています。
長いものでも3年以下だそうです。
ウミウシの一生
産卵期は春から夏にかけて(5〜8月)で、岩やホヤの上に白いリボン状の卵を渦巻状に産みつけます。

ウミウシが卵から孵るのには、温度が依存していて温度が高い方が早く、
だいたいは、2〜10日ほどでヴェリンジャー幼生となります。
このヴェリンジャー幼生は、立派な貝殻を持っていて、
ウミウシが巻貝の仲間という証拠を示しています。
ヴェリンジャー幼生になったウミウシは一途海面に向かいます。
これは、種の拡散のためだとも言われています。
海流に乗っている期間は、幼生によってまちまちだそうです。
こうやって海流に乗って移動するので、南方系のレアなウミウシも
見ることが出来てしまうのです!!
そして、ある時期になると海底に向かって泳ぎだし、海底にたどり着きます。
海底だとどこでも良いかと言うとそうではなく、餌があるところに行くそうです。
そして、場所が決まったらそこで変態します。
(サナギが蝶になるのと同じ感じです)
幼生の変態は貝殻を脱ぐ(?)ことのようです。
貝殻を脱ぐと皆さんが知っているウミウシになります。
でも、まだ1mm程度の大きさです。

成長したウミウシは、繁殖のために卵を産みます。
ウミウシは雌雄同体、オスと雌の機能の両方を一匹が持っています。
だからといって自分では受精できません。
交接(交尾)は、お互いに精子を渡しあって両方が受精し、どちらも卵を生みます。
広い海で、どうやってパートナーと出会うのか!?
それは、、、匂いを追って見つけるらしいです。

ナメクジの這った後を見ると粘液の道が残っているのを思い出してください。
ウミウシも一緒で歩いた後には粘液が残りその匂いの道をたどると、お相手がいる仕組みになっているのです。
匂いの道=運命の赤い糸みたいですね!!
しかし、どんな生物でも産卵には大きなエネルギーを必要とします。
ウミウシは寿命の長短にかかわらず、産卵すると死んでしまうそうです。
なんとも淋しい。。
産卵は、一生に一度の大イベントなのです。
きっとわが子への希望を胸に出産を終えるのでしょう。

ウミウシの鰓がある固体とない固体がいるのですが、その違いは不明です
ごめんなさい
わかり次第ご連絡いたします。