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[学名:Rhincodon typus]
ジンベエザメは魚類最大の生物です。
通常は約10メートル、最大で20メートルにもなるともいわれています。
その大きさゆえに英名は『ホエールシャーク』
和名は体の模様が、甚平衛羽織(じんべいばおり)に
似ていることからつけられたとされています。
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他にも地域により様々な呼び名があり、
中でも面白いのが、『エビスザメ』です。
ジンベエザメとイワシの食べ物は同じプランクトンの為、
ジンベエザメがいる所にはイワシが群れ、そのイワシを狙ってカツオが集まります。
その群れを「サメ付き魚群」と呼び、大漁が期待できます。
漁師さんにとってジンベエザメは、大漁をもたらしてくれるありがたい福の神とされ
「エビスザメ」とも呼ばれています。
沖縄県では『ミズサバ』鹿児島県では『クジラブカ』茨城県では『イビサスガ』など
様々な呼び名があります。
住んでいる場所は、世界中の熱帯・亜熱帯・温帯の海。通常は外洋にいますが、
海岸付近に来ることもあります。食べ物のプランクトンが深いところには余りいない為、
海面近くにいることが多いです。ですが、水深700メートルでも確認情報があります。
暖かい時期には、暖流にのって北上するようだが、
そのルートの解明はこれからです。
世界中の海を泳ぎまわっているジンベエザメですが、
メスの方が特定の海域に留まる傾向があり、オスの方が回遊します。
群れを作ってたりはせず、基本単独行動です。
ジンベエザメは大きな体に似合わず、プランクトンや小さな小魚を食べます。
その食べ方は、大きな口をあけて大量の海水(約100リットル)
とともにプランクトンを吸い込みます。
そして、鰓耙(さいは)と呼ばれるエラの内側についているざるのような器官でプランクトンを
キャッチし、いらない海水をエラ孔から出します。
残ったプランクトンをごっくんです。
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大きな体を頑張って動かして大きな獲物を襲うより、
口をあけてゆっくりと泳ぎ、無数にいるプランクトンを飲み込むほうが
楽にご飯にありつけるのでしょう。
小さなプランクトンを丸呑みなので、あまり歯はいらないのかもしれませんが、
ジンベエザメは上下でなんと5000本の歯が生えています。
その歯一つ一つはとても小さく、大きさはつまようじの先くらいです。
性格は大人しく、動きはゆっくり。といっても時速は約2キロ。
人が一緒に泳ぐには難しいスピードです。基本的に人にとって危険性の低いサメです。
サメ類の特徴として『らせん腸』と呼ばれる腸をジンベエザメも持っています。
腸にたくさんのひだがあり、らせん型のトンネル状になっています。
サメやエイと同じ仲間なので、サメやエイに付いている噴水孔があります。
噴水孔とは、目の後ろにある小さな器官でそれにより水を取り込み、
呼吸する事ができます。
噴水孔がしっかり機能している種は、
これにより海底で休んでいる時でも呼吸が可能です。
ですが、ジンベイザメはあまり約にたっていません。
ジンベイザメは、生まれてから死ぬまで寝ているときも泳ぎ続けます。
泳ぎ続けないと呼吸ができないためです。口から入った海水がエラ孔を通る時にエラで酸素を取り込んでいます。
ふつうの魚が持っている浮き袋はもたず、
脂(あぶら)をたくわえた大きな肝臓がその代わりをしています。
うろこは、ざらざらいわゆるサメ肌です。
皮歯と呼ばれる歯と同じ素材でできています。
目はあまり良くありません。左右離れて付いています。
その代わり、鼻がとてもよく敏感です。頭の先に『の』の字のような形です。
耳は、目の後ろにあり水の振動で小魚の群れを探したり危険を感じたりします。
ジンベエザメのオス、メスの見分け方は、
オスには、腹ビレのつけねに交接器(クラスパー)があります。
メスにはありません。
子どものころは小さく目立ちませんが、成熟すると大きくなって見分けが付きやすくなります。
ジンベエザメの繁殖は謎に包まれています。
交尾を目撃した記録もないですし、
以前は、卵が体外でふ化する卵生だと思われていました。
ですが、1995年7月15日、台湾の漁港で捕獲されたジンベエザメの体内から、
なんと約300匹の子ザメが出てきたのです。子ザメの大きさは60センチ。
母ザメの体長は10メートルです。
子ザメの見た目はまさにジンベエザメの小さいばん!!形も色も模様も母ザメと一緒です。
このことからジンベエザメは卵胎生
(母親の胎内で卵がかえり、子どもの状態で産み出されるという生まれ方)
であることがわかりました。しかし、子どもたちがいつどこで産み出され、
どのように成長するのか、解明されていません。
ジンベエザメの寿命は60年から70年ほどです。
なかには150年ほど生きるとの説もあります。